ホームステージングとは?なぜ注目されているのか
不動産を売却するとき「なかなか売れない」「内見での印象が悪い」といった悩みを耳にすることがあります。そんなときに活用できるのが「ホームステージング」という手法。ホームステージングとは、物件をより魅力的に見せるために家具・小物・インテリアなどを設置して暮らしのイメージを演出する手法。売却のスピードアップや価格アップにつながることもある戦略的なアプローチです。

なぜホームステージングが売却成功に効くのか?
「何もない部屋」や「生活感の強すぎる空間」では、内見者が実際の生活をイメージしづらく、購入意欲が湧きにくいというデメリットがあります。しかし、ここでホームステージングを取り入れると、主に以下の3点の効果が期待できます。
1. 購入検討者に “暮らしのイメージ” を具体的に伝えられる
家具の配置や小物の演出によって「この空間でどんな生活ができるのか」が一目で伝わります。 空間の使い方や家具のサイズ感をイメージできるので、「このお部屋、いいな」という納得感を得られやすくなります。
2. 無機質・古さ・生活感のマイナス要素を緩和
空室物件は広く見える反面、どこか寂しさや使われていない感が漂いがちです。また、居住中の物件では赤の他人の生活感が、かえってマイナス印象になることもあります。ホームステージングを行うことで、こうした「ネガティブな第一印象」の大幅改善が見込めます。
3. 写真映えが良くなることで、WEB掲載時の反響率がアップ
現在、不動産購入を検討している人のほとんどが、まず物件情報が掲載されたサイトで「写真」を見て物件の良し悪しを判断し、実際に内見しようかどうかを考えます。家具や照明を使って演出されたステージング済みの内観写真は、一覧表示の中でも目を引き、クリック率や問い合わせ率に大きく影響します。

ホームステージングは何をするの?主な施策と演出ポイント
ホームステージングというと「家具を置くだけ」「部屋を片付けるだけ」といったイメージを持たれがちですが、実際にはもっと戦略的で多様な手法が存在します。 目的はただおしゃれに見せるのではなく、内見者が「ここで暮らすイメージ」を具体的に描けるように演出することです。
1. 家具やインテリアの設置
空室の場合は、部屋の広さや使い方を視覚的に伝えるため、ダイニングテーブル、ソファ、ベッドなどを配置します。 暮らしのイメージができるような家具配置をすることで、「ここなら家族で快適に暮らせそう」といった感情が引き出されます。
2. 小物・雑貨である程度の “生活感” を演出
クッション、観葉植物、照明、テーブルセット、本棚などの小物は、ほどよい生活感を作り出すのに絶好のアイテム。空間を彩るだけでなく、写真に奥行きを持たせる効果もあります。ただし、過剰にならないようターゲット層に合わせたスタイリングをすることがカギとなります。
3. 不用品の撤去と整理整頓
居住中の物件の場合は「片付け」も大切なホームステージングの一部です。 不用な家具や物を減らすことで、空間が広く見え、スッキリとした印象になります。ただし何もない状態にするのではなく、少し生活感を残すくらいがちょうどよいと言われています。
4. カーテン・照明・ラグで雰囲気を調整
自然光が入りにくい部屋には、明るさを補うために照明による演出が有効です。 また、白やベージュ系のラグやカーテンで明るさに統一感を出すと、部屋全体が広く清潔に見えます。 「壁紙や床を張り替えるほどではないんだけど」といった場合、こういったちょっとした演出の積み重ねが第一印象の違いにつながります。
5. 写真撮影用の一時的なステージングも可能
最近では、物件サイトやSNSに掲載する写真のためだけに一時的なホームステージングを行うケースも増えています。 短期間で費用を抑えながら “写真映え” を重視する演出を行い、WEB上での反響を高める手法として有効です。

ホームステージングが特に効果を発揮する物件とは?
ホームステージングはすべての物件に有効ですが、特に効果が出やすいケースや積極的に導入すべきシチュエーションがあります。「我が家に必要かな?」と考えている方は、以下のポイントに当てはまるかどうかをチェックしてみてください。
1. 空室状態の物件
もっともステージング効果が高いのは、誰も住んでいない空室物件です。 空っぽの部屋は実際より狭く感じられることがあり、生活イメージも湧きづらくなります。家具を設置することで「この部屋、意外と広いんだ」、「ここにダイニングテーブルを置けばちょうどいいな」といった具体的な暮らしを想像してもらうことができます。

2. 築年数が経っている物件
築20年以上など、内装や設備にやや “古さ” がある物件は、第一印象の改善がとても重要です。 ホームステージングにより、色味や素材感を整えたり、小物を配置したりすることで、建物全体の “清潔感” や “雰囲気” が大きく向上します。

3. ファミリー層をターゲットにしている物件
家族向け物件では、内見者が各部屋の使い方をイメージしやすいように手助けをすることが重要になってきます。 例えば、リビングにダイニングセットとキッズスペースを用意することで「家族が団らんする様子」や「子どもが遊ぶ姿」を想像してもらいやすくなります。

4. 生活感が強く出ている居住中の物件
住みながら売却を進める場合、生活感がそのまま出てしまうと、買主にとっては “他人の家感” が強くなってしまいます。適度に整理・演出を加えた「部分ステージング」によって、モデルルームのような整った印象を作ることが可能です。

ホームステージングの費用感と注意すべきポイント
ホームステージングにかかる費用がどれくらいなのか気になる方は多いはずです。 ここでは、一般的な料金相場とあわせて、導入前に押さえておきたい注意点について紹介します。
ホームステージングの費用はどう決まる?
ステージング費用は、物件の規模、状態、設置期間や家具の種類などによって変わってきます。以下に目安をご紹介します。
| ステージング内容 | 費用の目安 |
| 写真用の簡易ステージング | 約3~10万円 |
| 空室ステージング | 約10~30万円 |
| 居住中の部分ステージング | 約3~8万円 |

注意点①:費用対効果を見極める
必ずしも「高い費用=高い効果」とは限りません。 物件価格や立地、市場動向をふまえて、投資に見合う効果が期待できるかを不動産会社と相談しましょう。 売却が長期化すると家具のレンタル費用がふくらむ点も考慮が必要です。
注意点②:実績ある業者を選ぶ
ホームステージングはセンスと経験がものを言います。 価格だけで業者を選ぶのではなく、過去の事例や写真のクオリティを確認することが重要です。また、家具の質感や配置のバランスが悪いと逆にチープな印象になることもあるため注意が必要です。
ホームステージング実施の流れ
- 不動産会社に相談 or ステージング業者に問い合わせ → 物件の状況やターゲット、予算に合わせてプランを提案してもらいます。
- 現地確認・プラン決定 → 実際に部屋を見てもらい、どの部屋にどんな家具を配置するかなどを決めていきます。
- 家具や小物の搬入・設置 → 必要に応じて写真撮影もこのタイミングで行います。
- 売却活動スタート(または継続) → ポータルサイトやチラシにステージング後の写真を掲載し、問い合わせを促進。
- 売却成立後に撤去・原状復帰 → 自分で手配した場合は速やかに原状復帰の段取りを業者と行います。

まとめ:ホームステージングは “選ばれる物件” への第一歩
ホームステージングは、内見者に暮らしをイメージしてもらうための有効な手段として、売却活動の一環としてよく取り入れられています。特に、空室や築古物件、生活感の強い住まいでは、ホームステージングによる「住みたい」と思わせる空間づくりが売却価格や売却までのスピード感に直結しやすいです。
もちろん、費用や手続きの手間がかかるデメリットもあります。それでも、それを補って尚プラスに働くことが期待できるのがホームステージングの強み。売却をスムーズに進めたい、できるだけ好条件で買ってもらいたい、そんな想いがある売主にとって、ホームステージングは魅力的な選択肢のひとつになるはずです。
「物件を “売る” から、“選ばれる” へ」
成功のカギは、ほんの少しの “見せ方” にあるのかもしれません。
