理想の住まいは “選び方”で決まる
住まいの購入は人生で最も大きな買い物のひとつです。「こんなはずじゃなかった…」と後悔しないためには、物件を選ぶ際の “軸” をしっかり持つことが大切です。
この記事では「物件・土地の選び方」の基本を5つのポイントに分けて、初めて不動産を購入する方にもわかりやすく解説します。

1.立地は「今の暮らし」と「これからの理想」のバランスで選ぶ
物件選びでまず気になるのが「立地」です。通勤・通学の利便性や、スーパーや病院など生活施設へのアクセスなど、いまの暮らしに直結する条件はとても大切です。
ただ、立地選びは “今の快適さ” だけでなく、“これからどんな暮らしをしたいか” という視点も持っておくと、より満足度の高い選択につながります。
たとえば、以下のようなことを参考にしてみましょう。
・子育てを考えているなら、公園や保育施設が充実しているなど子育てに力を入れている地域
・在宅ワーク中心なら、豊かな自然環境や静かな住宅街がある街
・老後も見据えるなら、公共交通機関が充実していたり高低差の少ないエリア
加えて、資産価値の推移や将来的なエリアの発展性といった側面も、事前に調べておいて損はありません。以下のような情報をチェックしておくと、暮らしの快適さと資産性のバランスを上手にとることができます。
・周辺地域の再開発計画や新しい交通インフラの予定
・過去5年間の地価の推移
・人口動態や世帯数の増減
立地選びにおける2つの視点をご紹介しましたが、最も大切なのは「今ここに住んだらどんな日々が待っているだろう?」と想像することです。そして、“未来の自分” に少し耳を傾けてみる。そんな感覚で立地を探すと、きっと愛着の持てる住まいに出会えるはずです。

2.用途地域ってなに?「この場所でどんな暮らしができるか」を左右するルール
土地を選ぶとき、意外と見落とされがちなのが「用途地域(ようとちいき)」の確認です。これはそのエリアに「どんな種類の建物を建ててよいか」「どんな施設が建つ可能性があるか」を定めた都市計画のルール。住環境にじわじわ効いてくる大事な要素なんです。同じような住宅街に見えても、用途地域によってこんな違いがあります。
・第一種低層住居専用地域:2階建て以下の戸建て住宅中心の静かな環境が保たれやすい地域
・準住居地域:住宅の建築も可能ですが、一定規模までの飲食店やコンビニなどの店舗も建てられます。少しにぎやかな地域。
・商業地域:店舗やビルの建設が可能。人が集まりやすく利便性は高いけれど、静けさはやや減る傾向。
例えば、「静かな住宅街で子育てをしたい」と思っていても、その地域が将来的にマンションや商業施設で賑わう可能性があると、思い描いていた暮らしとズレが出るかもしれません。逆に、「駅近で便利に暮らしたい」なら、ある程度の商業性はむしろプラスにもなります。
用途地域のポイントは、今の状態だけでなく “将来ここがどう変わるか” のヒントにもなるということです。なぜなら用途地域のルールは、簡単には変わらないからです。空き地が多い場所でも、用途地域を見れば「この先、どういうタイプの建物が建ちやすいか」がある程度予測できます。気になった時は物件の詳細ページを見てみたり、不動産会社に「この地域ってどんな用途地域なんですか?」と気軽に聞いてみてください。その土地での暮らしを想像しながら、あなたにとって “ちょうどいい環境かどうか” をしっかり見極めていきましょう。

3.見えない安心を手に入れる ― 地盤や災害リスクもしっかりチェック
家を建てる場所、住まいとして選ぶ家――
それがどんな土地なのか、私たちの目には届かないこともあります。けれど、その「見えない部分」こそ、住まいの安心や安全に深く関わっているのです。つまり、地盤の強さや災害リスクを事前に知っておくことは「暮らしの安心を買う」という意味でもとても大切なこと。とはいえ、必要以上に不安になったり専門的なことを完璧に理解しようとする必要はありません。ポイントを押さえれば、十分に納得のいく判断ができます。
どんなことをチェックすればいい?
1.ハザードマップを確認しよう
住んでから「実は浸水リスクが高かった…」と気づく前に、市町村が公開しているハザードマップで、以下のリスクを確認しましょう。
- 浸水・洪水リスク
- 土砂災害(急傾斜地など)
- 液状化の可能性
2.地盤情報を調べてみる
地名の由来(例えば「○○沼」や「○○田」など)が元湿地だったケースもあるように、地盤の強さはエリアによって大きく異なります。
- 国土地理院の地形図・旧地図
- 不動産会社に「地盤調査の履歴があるか?」を確認
- 建売住宅であれば、売主が実施した地盤改良の有無をチェック
3.過去の災害歴を知っておく
過去に水害や地震被害があった地域は、将来的にも同じようなリスクを抱えている可能性があります。今はインターネットで過去のニュースなどを調べて、その土地の災害情報を知ることができます。
「安全な暮らし」をイメージできるかどうかがカギ
その土地が地盤的に安心か災害に強いかどうかは、日々の暮らしの平穏が続くかに関わってきます。もちろん、どんな地域であっても絶対に安心・安全な場所はありません。でも「知って選ぶ」ことと「知らずに選ぶ」ことでは、安心感がまったく異なります。暮らしの “安心” は、目には見えないからこそ、少しずつ積み上げていくもの。その第一歩として、地盤や災害リスクについて、ぜひ知っておいてください。

4.暮らしは物件だけで決まらない ― 周辺環境とインフラも住み心地の一部
間取りや築年数、日当たりなど… 気になるポイントはたくさんありますが「暮らしやすさ」は、物件そのものがもつ条件だけでは決まりません。実際に暮らし始めてから「スーパーまで思ったより遠い」「夜道が暗くて不安」などと感じることも少なくありません。だからこそ、周辺環境や生活インフラの状況を購入前にしっかり見ておくことが大切です。
チェックしたい生活環境のポイント
買い物・医療・教育
スーパー、コンビニ、ドラッグストア、病院、学校といった毎日の生活に欠かせない施設までの距離が許容範囲かどうか。特に子育て世帯や高齢のご家族がいる場合は、特定の施設までの “近さ” が安心につながります。
交通の便
最寄り駅やバス停までの距離、平日の通勤時間帯の混雑具合、道路の混み具合なども実際に見ておくことができれば◎
治安や街の雰囲気
街灯の数、夜間の人通り、近隣の騒音(交通・店舗・工事など)も大切な生活の質の一部。昼と夜、平日と休日など、時間帯を変えて現地を歩いてみると印象がガラッと変わることもあります。
実際に “歩いてみる” ことが、いちばんの情報源
WEBサイトや地図上で把握できることもたくさんありますが、五感で感じる街の印象は、やはり現地に足を運んでこそ分かるものです。物件見学のときには、ぜひ少し時間をとって周辺を歩いてみてください。駅から家まで歩く道、公園の雰囲気、近所の人の様子――
そこに自分たちの暮らしが想像できるかどうか。それが、住まい選びにおいて1つの大きなヒントになります。

5.ちょっと冷静に、でもワクワクは忘れずに ― 資金計画と物件のバランスを見つめ直す
気に入った間取り、理想の立地、イメージが膨らむインテリア…
「この家、いいかも」と思える瞬間は、住まい探しのなかでも一番ワクワクする場面かもしれません。でもそのワクワクに飲み込まれそうになったときこそ、一度深呼吸をして「この物件、本当に自分たちの暮らしに “無理なく” フィットするだろうか」と立ち止まってみることも大切です。
たとえば、月々のローン返済額。シミュレーション上では払えそうに見えても「車検の年」「子どもの進学」「物価高」など、現実には支出の波もありますよね。「今いける金額」ではなく、「今後ゆとりをもって心地よく暮らせる金額」で考える。これが、住まい選びの後悔を減らすひとつのカギです。
・住宅ローンを払ったあとも、旅行や趣味にお金を使える?
・10年後、家族構成が変わったときでもこの家で無理なく過ごせる?
・月々の支払いがちょっと増えても、この家に住み続けたいと思える?
資金計画って「現実的な話」「シビアな部分」と思われがちですが、本当は “これからの人生をどう過ごしていきたいか” を改めてしっかりと考えるいい機会なのです。今だけじゃなく、未来の自分たちが「やっぱりこの選択でよかった」と思えるかどうか、ご自身の資金と向き合ってみてください。不安なことがあれば、住宅ローンの相談やライフプランのシミュレーションをプロに依頼してみるのも手です。無理をせず、でもあきらめすぎない。「ちょうどいい」を一緒に見つけていきましょう。

まとめ:物件選びは、暮らしを選ぶこと
「いい物件を選ぶ」というのは、単に立地や間取りを比べて条件に合ったものを探すだけではありません。自分や家族がどんなふうに暮らしていきたいかを、少しずつ言語化していくプロセスでもあります。この記事でご紹介した内容は、物件選びのほんの入り口に過ぎないかもしれません。でも、用途地域の意味を知ること、地盤や災害のリスクを確認すること、資金と冷静に向き合うこと… ひとつひとつが、未来の安心や満足感につながってきます。
迷ったとき、不安になったときは、焦らず立ち止まって、こう自分に問いかけてみてください。「この選択は、自分たちの “これから” に合っているだろうか?」
そして、もしわからないことがあれば、不動産のプロである私たちMスタイルプランニングにお気軽に相談してみてください。“正しい答え” よりも、“納得できる答え” を一緒に探していくことが、住まい選びの本当のスタートです。
